"死"とたたかう親友
~春~

「杏樹‥‥‥‥‥あんたが一番好きな季節が来たよ。あたしは、もう大丈夫。
杏樹は、見ていてくれたよね?
あたしの頑張ってる所。
応援してくれたよね?
あたしさ、杏樹みたいに強くないんだ。
だから、すぐ折れちゃうんだ。
そんなあたし、
頑張ったでしょ?」

私は1人、出来立てのお墓に向かって話しかけていた。
『本島 杏樹』
墓石に刻まれた字を、
ゆっくり撫でた。
「やっぱ、あんたって凄いや‥‥‥。」

つぅっと、暖かい涙が頬をつたって杏樹とオソロイで買った、ピンク色のワンピースに落ちた。


杏樹が居なくなってから、もう1ヵ月がたつ頃だ。

『春って良いなぁ。
悲しい時でも、優しくしてくれるし。
楽しい時は、鼻唄を手伝ってくれるみたい。』

杏樹は、春がやってくるといつも言っていたよね。
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