行き着く先は・・・甘い貴方の檻の中?
さくらの父、西園寺護は

『いつまでもmirayの出自を隠しておけるはずもあるまい。その時に君がどうやってさくらを守り、自分の野望を叶えるように動くのか、とくと観察しておくから忘れないように』

と言った。

現在、ネット上では、finding southwest fantasiaの熱狂的なファンがネタバレを激しく拒否している。

Denizの愛飲者も、アニメのファンも一体になってmirayの辿る運命を待ちわびている。

マスコミもそこのところはわかっているから、敢えてさくらの身バレは狙わないだろう。

波留斗が考え込んでいると、隣に亜衣が近づいてきていた。

「妬ける?」

「何に対して、ですか?」

怪訝な顔で、波留斗が亜衣を見つめる。

「あの二人、とても仲がいいでしょう。アニメの収録中もずっと一緒にいるの」

亜衣は困ったような、悲しいような顔で打ち合わせをしているmirayと学を見ている。

「どっち・・・が本命ですか?」

「えっ?・・・フフ、そうね、どっちでしょう。性別がはっきりしているほうかしら。あなたは私と逆でしょ」

波留斗がクスッと笑うと

「あら、笑顔が素敵ね。ずっと笑っていたらいいのに」

「笑顔の安売りはしません。本当の私を知ってくれるのは一人でいいですから」

と真面目な顔を作ると

「自信があるのね」

と亜衣が笑った。

波留斗もつられて笑うと、前方から視線を感じる。

さくらと学がこちらを見ていた。

学の顔が一瞬こわばっているような気がしたが、それはホンの一瞬で、次の瞬間には笑顔でさくらの肩を抱いて晶のほうに歩いて行った。

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