行き着く先は・・・甘い貴方の檻の中?
「それにしても、西園寺・・・いや、mirayちゃんの変わりようには脱帽だよ。本当に中性的で、男女共に魅了させられるっていう、晶さんの言葉の意味がわかるよ」

頬を染めてmirayを誉める千歳に、ジドッとした視線を波留斗が送る。

そう、今のmirayは、違和感なく゛miray゛として存在し、確固たる人格を形成していた。

西園寺さくらは、どことなく遠慮がちで、何か物足りなさを感じている雰囲気を醸し出していたが、

遠慮や憂い、迷いを捨てたmirayは人として輝いている。

晶は゛フェロモン゛という表現をしていたが、mirayの魅力はその一言に尽きず、人を引き付ける゛オーラ゛や゛空気゛を纏っていた。

男性目線では女性的な魅力を、女性目線では少年のような魅力を、子供達からは゛ヒーロー゛や゛ヒロイン゛への憧れを、親や祖父母世代からは、守るべき゛孫゛のような愛しさを感じさせる・・・。

そんな貴重なイメージモデルにふさわしい雰囲気と立ち振舞いだった。

「うん。さくらのなりたかった人物っていうか、本当の姿をやっと見ることができたって感じね」

桃子も満足そうに頷く。

「いつもさくらは自分の感情を押さえつけてる感じだった。でも、あのバンパイアゲームイベントをきっかけに、本当の自分を解放できたでしょ?これも南條ビバレッジさんのお陰ね」

「そうだね。こんな自分がいたなんてビックリしたけど満足してる」

さくらの心からの笑顔は、益々魅力を振り撒いており、それを見て目を見張る千歳に、波留斗の表情が強張る。

「あんまり見るな」

波留斗の言葉に、ハッと我に返る千歳。

しかし、その言葉の意味に気づいた千歳はニヤニヤと表情を変えて波留斗を覗き込む。

「ははん、敏腕マネージャーさんのガードは、雲よりも高いって訳だ」


波留斗は、そういって茶化す千歳の表情をじっと観察する。

そこにはmirayへの恋情や執着は見て取れず、波留斗は内心ホッとするのだった。




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