行き着く先は・・・甘い貴方の檻の中?
「波留斗、お前らしくないじゃないか。もっとスマートにやれるはずだろ?」

数メーター離れた先では、

先程話をした、西園寺さくらと望月桃子が、企業ブースの担当者として、いや・・・立派なコスプレーヤーとして顧客の接客に当たっていた。

ゲームやアプリ、それに関連したイベントの開催で規模を拡大してきた新鋭企業"triple birth union"

発売予定の微炭酸飲料水のイメージモデルの話も本当だったが、業界大手に上りつめてきたこの企業のイベントに興味があったのがもう一つの理由だ。

"triple birth union"

この企業の表向きの代表は、天才ITエンジニアである新山拓海。

イケメンで話も上手い彼は"triple birth union"の広告塔だ。

企業名のtripleが、共同経営者の3人を意味することは知られていたが、残りの2人が誰なのかは、公にしているわけではない。

隠しているわけでもないので、知る人は知るという感じなのだが、何せ新山拓海の印象が強すぎて、余り話題にされない隠しネタとなっていた。

「自らがコスプレして宣伝する女2人が副社長と専務なんて、問題ないのか、この会社」

常識人の南條の疑問はもっともだろうが、こうした業界ではそれもあり。

夢の世界で生きる人々には、人に迷惑さえかけなければ何だってありなのだ。

「てか、この会社の筆頭株主・・・西園寺さくら・・・だってよ」

廣瀬の言葉に、南條もスマホの画面を覗き込む。

廣瀬は

"西園寺さくら"

で、更に検索をかける。

"西園寺コーポレーションの1人娘"

"文武両道の次期後継者候補"

次々と出てくる驚きのワードに、二人は言葉を失って、数メーター先で笑顔を振り撒いている、イケメンS系俺様コスプレーヤーを見つめるのだった。


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