行き着く先は・・・甘い貴方の檻の中?
「miray、お休みなのにごめん。早速だけど音、もらっていい?」

「はい。よろしくお願いします」

波留斗はmirayと別れ、音声監督に案内されて編集室へ移動する。

「じゃあ、テスト行くよ」

ガラス越しのmirayはマイクの前に立ち、アニメの画像に合わせて声を乗せていく。

場面は、mirayが旅の途中で出会った青年と会話をするシーン。

青年の声はすでに録音したようで、それに合わせてまるで、会話をしているように台詞をあてていく。

「あなたは南條ビバレッジの担当者さん?」

「はい。Denizの担当者として、関連商品と足並みを揃えるため内容把握をさせて頂こうと思いまして」

「そう、mirayって、声もいいよね。中性的な容姿もアニメ向きだし、声優イベントでも集客できそう」

波留斗は、mirayのマイク越しの声を聞きながら目を閉じる。

声変わりの少年のような心地よいアルトよりのテノール。

フッとその声が止み目を向けると、レコーディングルームに誰かか入ってくるのが見えた。

シャツにジーンズというラフなスタイルだが、背が高くて王子のような容姿。

音声監督によると、ゲーム内でmirayを助ける騎士役、

トルコ語で太陽を意味する゛gun(ギュン)゛だという。

今や男性声優の中でも1、2位を争う人気者だそうだ。

20代後半のように見える彼は、mirayを見ると嬉しそうに微笑み、そしてハグをした・・・。
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