星に乗って





きっかけなんて、ない。



ただ、自分をめちゃくちゃにしたかった。



心を痛めつけて、何も感じないように、痛みを感じないようにしたいだけだった。



なんでかは分からない。



自分を壊せるなら、方法はなんでも良かった。



だから、クラス替えで学年でいちばん力を持っている女子と、そいつにいじめられている女子が同じクラスになったのは好都合だった。



予想通り、噂に聞いていたように始業式の日からいじめが始まった。



こういう人って、絶対「いじめなんてやめようよ」っていう人をいじめる。



ほとんど確信を持ってそいつに近づいた。



怯える女子にバケツの水を被せようとしたその時、わたしは声を掛けた。



「ねえ、止めなよ。

嫌がっているよ、この子」



「は?なんなのいきなり」



「だから、止めなよ。

いじめなんて止めなよ、高校生にもなって」



話しながらどんな言葉を言えば、相手をさらに逆上させられるか考える。




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