果報者

〜志乃〜

私の前、
ニコニコと娘を抱く彼は



紛れもなく私の親友、まこの彼氏。



何を思い彼は私を呼び出したのか



娘に会うため?
彼女の居場所を聞くため?



それとも
それとも何か気付いてる?




龍と結婚し妊娠した私は
長年続けた仕事を辞めた。



もちろん仕事を辞めることに
迷いはあった。



同期がまこしかいないこと。
私が辞めるということはその分の負担が
まこにのしかかるということ。



彼女の病気のこと。
過去のこと。
これからの生活のこと。


でも、心配してたのは私だけで



紺ちゃんと付き合ってからの彼女は
本当に輝いていた。



私と紺ちゃんも仕事で一緒のことも多かったため
心から彼を信用していた。



彼女の全てを受け入れ
一生分の愛を捧げてくれた。



誰も信じて疑わなかった。



2人の未来は
2人のものだって信じてた。
< 88 / 196 >

この作品をシェア

pagetop