現実主義の伯爵令嬢はお伽話のプリンセスと同じ轍は踏まない
どこからその自信が出てくるのか。
ヴェネディクトはとにかく大丈夫の一点張りで、グレースとしては頷くしかなかった。

「分かったわ。じゃあ、お父様に話してみるわね」

「なるべく早く頼むよ。仕事を教わるのにどのくらいの期間がかかるか分からないし、時間はあるにこしたことないからね」

「そうね。じゃあ善は急げだわ。早速帰って、お父様にお話してくる」

「それがいい。送るよ」

「ありがとう!」

正直いまいち納得出来ていないが、それ以外に手段がないのも事実だ。それにヴェネディクトが私を騙すわけがないわ、とグレースは強引に意思を固めて、明るく返事をした。

< 17 / 124 >

この作品をシェア

pagetop