現実主義の伯爵令嬢はお伽話のプリンセスと同じ轍は踏まない
だから話題をさっさと話題を変えてみた。

「それにしても豪華な馬車ね。馬もとても立派だったし、車もとても乗り心地がいいわ」

派手な飾りはないが漆黒の車に家紋のついた車は見るだけで品質の良いものだと分かる。しかも座席の乗り心地が最高で、先程からほとんど揺れを感じないのだ。

「グランサム公爵家は代々質実剛健な家風なんだよ。元々騎士の家柄だしね。今の公爵もかなりのご高齢だけど、矍鑠としているんだ。厳しいって言う人もいるけど、物の本質を良く見極める凄い人さ。一緒にいると勉強になる事ばかりなんだ」

「ヴェネディクトったら、本当に公爵の事が好きなのね。まるで恋人について語ってるみたいな熱の入りようよ」

普段穏やかな彼がこんな風に熱く語るのは珍しい。でもそれは嬉しい驚きだ。グレースはくすくすと笑いながら、ほっこりした気持ちになった。
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