現実主義の伯爵令嬢はお伽話のプリンセスと同じ轍は踏まない
「余暇?」

「そうさ。余った時間を妹や弟の世話に使わずに、気の赴くままにゆっくりと過ごすんだ。シンデレラみたいに家事を手伝う事に慣れたままじゃいけない」

「そうね。手伝わないと白雪姫みたいに森に捨てられちゃうって怯えるのは良くないものね」

ふふっと笑いながら言ったのに、自分の言葉に酷く落ち込んでしまう。

去年の縁談を断った辺りから、グレースがゆっくりしていると継母からキツく当たられるようになったのだ。はっきりとは口にしないが「穀潰し」だと当てこすられ、自分はどれだけ大変なのかをアピールされる。

だからグレースは少し手の空いた時間にはアナベルに刺繍を教えたり、ウィルターに歴史書などを読み聞かせをするようになった。
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