現実主義の伯爵令嬢はお伽話のプリンセスと同じ轍は踏まない
二人の会話に、グレースは先程までの気詰まりを忘れて、呆気にとられていた。

いつもは友人のように気安く話すのに、今のはまるで信頼する教師と生徒、もしくは父と息子のようだ。

そう言えばヴェネディクトは以前「色々教えてもらったり、力になってもらったり」していると言っていた。
とはいえ、二年前まで会った事もなかった遠い親類とは思えないほどの近しさだ。

「さあ、食事を再開させよう。すっかり冷めてしまった」

だが、そんな戸惑いは公爵の宣言で消されてしまった。

「あ、はい」

グレースは急いで皿に視線を戻した。そして視界の端でヴェネディクトが丁寧に手紙を封筒にしまうのを確認しながら、ゆっくりとナイフを動かした。
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