現実主義の伯爵令嬢はお伽話のプリンセスと同じ轍は踏まない
平たく言ってしまえば興味のある異性と親しくなるきっかけに、とお茶会へ誘っているのだ。恋愛に疎いグレースだって分かる事がヴェネディクトに分からない筈がない。

「勿論分かってるさ。分かってるから一緒に行って欲しいって言ってるんだ」

「分かってって……だって今までは一人で行っていたんでしょう?」

それなら脈があると思われていても仕方ないし、そのつもりがないなら初めから行かなければ良かっただけの事だ。

「行ってたよ。父親のレディング伯爵とお会いしたかったからね。だから会えた今は行く必要がないんだ。逆にこれ以上行くと面倒なことになるけど、このままって訳にはいかないらしいからね」

そう言ったヴェネディクトはチラリとグランサム公爵に目をやった。

「このまま行かなくなれば、それはそれで社交界の女性達の間で悪い噂が立つらしくてね」
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