Toxic(※閲覧注意)
4:百獣の王の秘密
【4:百獣の王の秘密】


今日は久しぶりに、円香とランチ。

何故久しぶりなのかと言えば、土日を挟んだ上に、彼女がこの数日間、韓国に出張でいなかったからだ。

円香のいるチームは出張がとても多い。

小さな子供が2人もいるのに海外出張なんて、本当に大変だな。

私が同じチームなら、喜んで代わってあげるのに。

私もたまには海外行きたい。

「はい、アンタが欲しがってたパック。ちゃんと買ってきてあげたわよ」

「ありがと円香、愛してる!」

「愛情の安売りはいいから、早く新しい男作んなさいよ」

円香は呆れたように笑って言うと、パスタをひと巻きして口に運んだ。

「あ、そういえば、あの彼と何か進展ないの?」

「あの彼?」

「ブリリアントの営業担当さん」

実は私はまだ、円香に柴宮大和とのことを何一つ話していなかった。

ずっと放置されていたから、話すほどのことは起きなかったし、やっと何か起きてみれば、円香が出張で不在だったからだ。

国外にいる彼女に、わざわざ「ブリリアントの柴宮さんとセックスしました」なんてしょうもないメッセージを送るほど、今の私は暇ではない。

なのに、「私と何かある相手」候補として真っ先に名前をあげるあたり、さすが円香だ、私の男の好みを熟知している。

「あー、柴宮大和?」

「あら、響子が他人のフルネーム覚えてるなんて、珍しいわねぇ」

円香はニヤニヤ笑って言うと、私の首元を指差した。

「その素敵なネックレスも、柴宮さんからのプレゼントだったりして」

そんな細かい所までつついてくる彼女に、

「……いろいろ、ご想像にお任せしますよ。まあ、何もなくはないから」

私はため息をついて白旗を上げた。
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