砂時計が止まる日


新垣のお母さんが飲み物を買いに行くと席を外していた時だった。



「くるっし...」



突然新垣の様子が急変し、バイタルも異常な数値を出していた。

バタバタと先生たちが集まる。



「Oh,this is not good.

It's dangerous if it goes on like this...」



外国人の先生がそう言って顔を背けた。



「由羅!?由羅!」



そこに新垣のお母さんが戻ってきた。



「もう、仕方ない。

由羅ちゃん、このままか、手術か。」



「しゅ...じゅっつ...すれ、ばま、たはな、せるよ、ね?」



苦しそうに言葉を紡ぎ出す新垣。



新垣はストレッチャーに乗せられて運ばれて行った。



僕らはそれを追いかけていく。

新垣は多くの人によって手術室に運ばれて行った。



僕達は手術室の前で永遠にも感じられそうなほど長い夜を過ごす。



荒木は気が動転して座っていられないよう。

新垣のお母さんは僕の隣に座り、ただ祈りつづけていた。



「白川さん...お姉ちゃんは助かるんですか?」



「大丈夫。新垣は強いよ、またもう一度話せる。」



そうだ、新垣は言っていた。

“手術すればまた話せるよね?”と。



「でも、これ。

病気の元のところを取り除くんだろう?そうしたら数時間も持たないんじゃ...」



「大丈夫だから!新垣は弱くない!



だから、信じてあげて。」



きっと僕よりも類君の方が新垣の病気のことを知っているだろう。



この手術が負うリスクも、僕はきっと分かっていない。



でも、僕は信じたいんだ。

彼女は奇跡を起こしてくれると。

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