砂時計が止まる日


手術終了から4時間。



「お姉ちゃん!」



心菜ちゃんが声を上げた。



「こ、こな...

る、い...

おか、あさん...

いち、か...

し、ら、かわく...」



微かに息のような声が聞こえる。



「泣か、な、で...だ、いじょ、...



わたし、いな、ても、な、にも、かわらな、い、かも、けど、みん、なは、す、こし、で、い、いから、かな、しん、で...」



私たちが新垣の言葉を一言一句逃すまいと聞いていると突然ぱりんっと音がして砂時計が割れるのが見えた。



「こま、た、ときは、おたが、さま...

わた、し、そら、からたすけ、る...



わ、たしを、しんじ、て...

そ、ばにいる、から...



わ、たしは、み、んなの、きぼ、うになる...



わたし、みん、なのこと、だいすき...



であ、って、くれ、て、あり、がと...」



その言葉を最後に新垣は笑顔を浮かべ、目を閉じた。

< 188 / 200 >

この作品をシェア

pagetop