旦那様の独占欲に火をつけてしまいました~私、契約妻だったはずですが!~
『これだから俊也は……。本当、お前の変なところでバカ真面目なところは昔から変わらないな。……いいんだよ、時には常識外れな行動に出たって。あの時もそうだっただろ? 冷静を失い、姫乃に指輪を買うんだって暴走したお前はどこ行った』

「昴……」

『芽衣の気持ちをしっかり繋ぎとめてから、うちの両親を説得する手もあるんじゃないか? ……芽衣はその方が喜ぶと思うぞ? まぁ、ウカウカしている間に父さんお墨付きの男に芽衣を奪われてもいいなら、話は別だが』

「……っいいわけないだろ!?」

声を荒らげると、昴はすぐに言った。

『だったら今すぐ芽衣を抱きしめてこい。……芽衣なら今日は残業で遅くなるって連絡があったようだから』

「わかった。……ありがとうな、昴」

昴のおかげで目が覚めた。なによりも先に芽衣に気持ちを伝えるべきだったのだと。

『今日のこと、しっかり芽衣に伝えてくれよ? そうすれば芽衣の中で俺の株が上がるから』

昴らしい物言いに笑いながら、もう一度礼を言い通話を切った。

ずっと伝えたかった想いを彼女に告げよう。傷つけてしまった分、もう二度と悲しい思いはさせない。……一生幸せにすると。

急いで会社へ向かった。
< 238 / 262 >

この作品をシェア

pagetop