旦那様の独占欲に火をつけてしまいました~私、契約妻だったはずですが!~
織田先輩の旦那様は出産前に海上に出たきり、まだ戻ってきていないらしい。

撮った写真を送ったらしいけど、早く子供に会いたいよね。それに織田先輩だってひとりでの子育ては大変で不安なはず。

「それとなにかあったら誰でもいいから頼れよ? まぁ、俺はあまり力にはなれないが、子育て経験者が会社にはたくさんいるだろ?」

俊也さんらしい優しさに、私も続いた。

「そうですよ、織田先輩。私でも力になれることがあったら、いつでも言ってくださいね」

織田先輩のためなら、なんだってする。

すると彼女は笑いながら涙を拭った。

「ありがとう。じゃあなにかあった時は遠慮なく頼らせてもらいます。……それにしても、もうすっかり夫婦になっちゃいましたね、ふたり。やっぱりお似合い」

織田先輩に言われ、私と彼は顔を見合わせ、笑ってしまった。

お互いの気持ちを確かめ合い、初めて結ばれた夜。これまで感じたことのない幸福感に包まれた。

俊也さんが愛しくてたまらなくて、できることならこのままずっとくっ付いていたいと願うほど。
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