残酷なこの世界は私に愛を教えた



「なんかごめんね? あれ、うちのねーちゃん」



えっ、お姉さん!?


んー確かに、先輩と同じ遺伝子を持っているだけあって、とても綺麗な顔してるなあ。



「何か食べたいもの、ある?」



私は顔を横に振る。



“お腹空いてない”



と画面を見せる。



「そっか。朝御飯は?」



“食べてない”



そういえば、昨日の昼から何も食べてない。



「えっ、……。そうだ! ここさ、パンケーキが美味しいって意外と人気あるんだよ。それ、食べてみない?」



別に私はお昼を食べても食べなくても大丈夫だったから、勧められるままに頷く。



「ねーちゃん! パンケーキとお茶二つずつ!」



キッチンの奥から「はーい」という声が聞こえた。



少し間が空き、心地の良い沈黙が流れる。

私はふと気になって尋ねた。



“屋上って、何で開いてたの?”



「ああー、それはね。あのドアの鍵、俺が持ってんの」



えっ?



先輩が「ほら」とポケットから鍵を取り出して見せる。


私が「どうして」と聞きたいのを分かったように、続ける。



「二個上の先輩が俺にくれたの。合鍵だってさ。どうやってコレ作ったのかは……俺も分かんない」



そんなことを言いながらヘラっと笑う。

てか、合鍵とか大丈夫なの?
犯罪、とかになるんじゃ……。



「あ、これ他の人に話しちゃ駄目だよ?」



そう言って、いたずらっ子のような笑みを浮かべる。



やっぱり、この人掴めない。




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