残酷なこの世界は私に愛を教えた



「で、実際どーなの?」



そして、今は尋問されてます。



“何が”



「須貝先輩とのことに決まってるでしょう」



ずいっと顔を近付けてくるこの子は、同じクラスの千島美里(ちしまみさと)。



高校で知り合い、今は多分一番仲が良い。



“どーなのって言われても”



「じゃあ、何が有ったの? 何で毎日愛珠のこと送ってくれてんの?」



えーっと。



「ていうか、付き合ってんの?」



あの、一回答えさせて。


手で美里を遮り、一旦状況を整理する。



“先輩とは付き合ってない。この前の帰り道で私が車とぶつかったから送ってくれてるんだと思う”




そう伝えると、「ふーん」と心底納得してなさそうな返事が返ってきた。



―――♪♪♪



まだ美里が何か言いたそうにしてるとき、スマホが音を立てた。


画面を確認するとなんと「須貝隼人」という文字が並んでいる。



なんだかんだ先輩から連絡をもらうのは珍しいので、慌てて確認する。




通知からメッセージアプリに飛ぶと、先輩からの「ねえ、お昼ってどうしてるんだっけ?」という文が表示された。


急にどうしたんだろうと疑問に思いながら「今日は買うよ」と返信すると、「おけ、じゃ屋上で待ってる」と返ってくる。



いや、「じゃ」の繋がりが分かんないんですけど?



だけど、ここで「どういうこと?」と聞き返すのも何だか野暮な気がして大人しく屋上に向かうことにした。



美里に“ちょっと先輩のとこ行ってくる”と断って席を立った。




< 33 / 197 >

この作品をシェア

pagetop