TとJK
「和花~一緒に帰ろ~。」
『ごめん美羽。今日は1人補習が…』
「そっかー。和花物理できないもんね。」
『そーなんだよね。ごめんね。また今度。』
「頑張って。」
私、青山和花(あおやまわか)高校3年生。
勉強も運動も常に平均である。
だが、唯一平均にも満たないのがある。
物理だ。
いつも1人だけ赤点で、補習をやっているのだ。
私は、物理準備室にむかった。
物理準備室にはいると、そこには見慣れたおじいちゃん先生の北島先生がいた。
常連なため、もうすっかり仲良し。
『せんせー。今日は何やるんですか?』
「今日は円運動だよ。ほんと青山だけだぞ!こんなに教えてるの…」
先生はあきれながらに言った。
『だって物理って何いってるかわからないんだもん。』
毎回こんなやりとり。
そして授業が始まる。
ーーー
ーーー
「もうこんな時間か。今日はここまでだ。」
『はーい!』
先生はもう定年すぎなため、5時には帰る。
そのため授業は一時間でおわる。
「ちゃんと復習しろよ。」
『わかってますよー。受験生ですもん。』
「青山チョコいるか?」
『いいんですか!?ありがとうございます。』
先生は毎回私に何かしらお菓子をくれる。
このときだけ赤点でよかったって思う。
ガラガラ
「失礼します。北島先生、教科書とかどこにありますか?」
新採用の物理の先生が入ってきた。
名前は知らないが、若くてイケメンだと聞いた。
私はその新採用の先生に軽くお辞儀をした。
すると先生も返してくれた。
確かに噂されるほどイケメンであった。
すると北島先生が
「青山、こちら新採の佐藤先生だ。」
『どうも。』
佐藤先生って言うんだ。
「よろしく。」
佐藤先生の挨拶は素っ気なかった。
私は、荷物をまとめ始めた。
すると北島先生は、職員室に用事があるといって物理準備室を出ていった。
二人きりになってしまった。
…
なんか気まずい…
なんか話さないと…
『せん「3年生?」
まさか被ってしまうというね…
『あっ…はい。』
「やっぱり難しい?俺、卒業したばっかで久しぶりに物理やるからさぁ」
『あっうんと…私にとっては難しいです。だけど他の人は簡単そうに解いてますよ。』
「まさか、物理苦手なの?」
『もちろん!何いってるかわからないじゃないですか。』
「そこどやるとこではないから(笑)」
絶対おかしなやつだと思われた。
最初が肝心って言うけど、ついつい話してるとボロが出てしまう。
『先生って1年生担当ですか?』
「そー。物理基礎教えるんだ。」
『そーですよね。頑張ってくださーい。』
「ありがとう。」
私は物理準備室を出た。
そして、教室で復習を始めた。
うぅわからない
さっきやった所が全然わからない。
先生に聞きに行くしかないな。
誰かいるかなぁ。
私は職員室に向かった。
ガラガラ
『失礼します。物理の先生って誰かいらっしゃいますか?』
するととある先生が来てくれて言った。
「うーん。担当は?」
『北島先生なんですけど、5時すぎちゃったので帰ってしまったんですよね。』
「そっかー。それは残念だったね。他に…ちょっと探してみるから、職員室前の机で待ってて。」
なんか申し訳ないな。
私は職員室を出て職員室前の机で先生を待った。
すると
「物理教えて欲しいっていう子?」
振り向くとそこには、佐藤先生がいた。
私は思わず目をまん丸にした。
『あっはいっ。先程はどうも。』
佐藤先生も気づいてくれたらしく
「あぁさっきの子か、範囲どこらへんなん?」
と聞いてくれた。
『円運動です。』
「わかった。ちょっと教科書持ってくるから待ってて。久しぶりすぎて分からないねん。」
『はい…』
関西弁…?