旦那サマとは打算結婚のはずでしたが。
でも、目を向けた皆藤さんはかなりクールな雰囲気で、まるで能面のように笑いもせず、黙って克っちゃんを見つめていて__。


そのクールさに思わず目を見張り、あの…とも言い出せずに口籠ってしまう。
彼のそんな表情を見たのは初めてで、その冷たさそうな感じに飲まれ、次の言葉が出てこなかった。



「…そうか。同僚ね」


皆藤さんは冷や汗をかいてる私に近寄り、すっと肩を抱くと克っちゃんを見返してそう言った。


「宜しく。皆藤です」


手を差し出しながら握手を求め、大人な感じで対応しようとする皆藤さん。

彼に握手を求められた克っちゃんは、逆にヒクッと頬を引きつらせ、フン!と大人気ない態度で手を払い、さっさとトラックに向いて歩きだした。



「克っちゃん!」


何よ、その態度…と言おうかとした。だけど、ぐっと肩に置かれた手に力が込められ、驚いて何も言えずに旦那様を見上げた。


その間にトラックに乗り込んだ克っちゃんがエンジンをかけ、ブルル…と噴煙を巻くようにして走りだそうとする。
マフラーから出る排気ガスを吸い込ませない為か、皆藤さんは私の前に立ちはだかり、掛からないように庇ってくれる。

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