次期院長の強引なとろ甘求婚


 途中だった閉店作業を待つ間、先に自宅に戻っているという未久のご両親に挨拶にうかがった。

『今晩、未久さんをお預かりさせていただきたい』

 包み隠さず、誠意をもって頭を下げ、ご両親からの許可をいただいた。


「あの……これからどちらへ?」


 仕事を終えた未久を車に乗せ、向かった先は恵比寿にある一流ホテル。

 本当だったら今日の昼間、病院に彼女を呼んだ際に今晩の約束を取り付ける予定だった。

 それが、不測の事態に見舞われ、こんな急遽連れ出したような感じになってしまった。


「今夜は、一緒に過ごしたいと思ってたんだ」

「えっ……」

「ご両親にもちゃんと許可をもらってきたよ」


 そんな予告をされて、着いた先がホテルだったことに、未久は途端に動揺を露わにする。

 ヴァレーパーキングサービススタッフに車を預け、ホテルエントランスを入りフロントへと直行した。

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