異世界から来た愛しい騎士様へ
意識が途切れそうになった瞬間。
ミツキは目を覚ますのだ。
そこで、それが夢だとやっとわかる。
顔や体からは汗が流れ出ており、胸の鼓動も激しくなっている。まるで、激しい運動をした後のようであり、疲労感もある。
ミツキはゆっくりと深呼吸をしながら、辺りを確認する。そこは、シトロンの城の中にあるミツキの部屋で間違いなかった。窓からは、朝日が入り込んできている。夜が明けたばかりのようだった。
最近、ミツキはこの夢をよく見るようになっていた。異世界であるシトロン国に来たばかりの時は、毎日のように見ていたけれど、ここ数年は全く見ていなかったのだ。けれど、城下町の本屋の店主から話しを聞いた後から、この悪夢をうなされていた。
けれど、ミツキは気づいていた。
これは夢ではなく、昔あった真実なのだと。
その事を確かめるためにも、ミツキは早くチャロアイト国に行きたかった。けれど、エルハム姫の襲撃事件があったばかりでそれが許される訳もなかった。
ミツキ自身は私証を持っていない。シトロン国ではミツキの事を知っている人が多いため私証がなくても生活出来ていた。けれど、別の国に行くとなると話しは別だった。
そのため、ミツキ一人でチャロアイトに行けるはずとなかった。
強行突破すれば行けるだろうが、それはシトロンの騎士としては避けなければいけない方法だとわかっていた。けれど、ただ待っている時間はとても長く感じてしまうもので、どんな手段を使っても行きたくなってしまうものだった。