異世界から来た愛しい騎士様へ




   ★★★




 ミツキが目を覚ましたのは、自分の体が熱いからだった。
 夜になり、看守と騎士団の男達がやってきて、ミツキが熱を出した事に気づいたのだ。そう言われるまで、ミツキ自身もわからなかった。シトロンに来てから体調を崩したことはほとんどなかった。
 地下という環境と体を濡れたままで過ごしたせいだろう。
 捕らえられた人間には、体調を崩したとしても尋問をし、また水をかけるのだろう。ミツキはそう思っていた。
 けれど、アオレン王からの命令なのか、「おまえが死んで証言が聞けなくなるのが困るからな。解熱剤を飲んでおけ。」と、薬と水を渡されたのだ。
 ミツキは、毒ではないかと疑いながらも体の怠さからその薬を飲んだ。
 すると副作用からか、すぐに眠気が襲ってきた。
 めまいがする体を床に倒して、薄いタオルを体に掛けると、ミツキはまた死んだように寝た。

 

 どれぐらい寝たのだろうか。
 1日中薄暗い牢屋は今が昼なのか夜なのかわからなかった。
 ガチャンっという、牢屋の鍵が開けられる音が聞こえてきた。と言うことは、朝なのだろうか。
 牢屋の扉が開くのは食事が運ばれる時と、尋問の時だけなのだ。
 薬のせいで、まだ頭はボーッとしており眠かった。けれど、ミツキはゆっくりと目を開けた。

 すると、信じられないものが目に飛び込んで来た。
 金色の髪にキラキラと光る碧眼、真っ白な肌に紺色のワンピースを着た女がそこに立っていたのだ。牢屋には相応しくない女。そして、ミツキが会いたくて仕方がなかった人だった。



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