COLOR





「別れよう」そう言ったのは確かに自分だ


"別れたい"、そう思ったから言った言葉であることも間違いない


でも、今では後悔でしかない



「なつ?」


その呼び方にピクッと頬がひきつったのがわかった


「そう呼ぶなと言っただろ……」


出会って直ぐにも馴れ馴れしくそう呼ばれて咎めたはずだ


「あ、ごめん、よっぽど嫌な思い出なんだね………
何?考え事?」


嫌な思い出?


ふっと小さく笑いが込み上げる
それを良いように受け取ったのだろう
嬉しそうに俺の手に触れてきて、少し高揚した声で「今日、夏月の家に行って良い?」と


その言葉の意味を解らないほどの子供でもない
そして、男としてその言葉に嬉々として便乗するほど大人に成れていない


俺はあの日から止まってしまっている


触れられた手をそっと離して「ごめん、明日早いんだ」そう告げると今度はキレた


「仕事と私どっちが大事なのよ!」


そんなドラマの様なセリフを使うやつがいたのか
男が言われたくないセリフの一つだろ

"いい女"を装ってる割に陳腐な言葉を投げ掛けてくる女に溜め息しかない


「仕事に決まってるだろ」


仕事は生きるために必要だ
今の俺には仕事しかない

女は付属でしかない
邪魔をするならいらない

たった一人をのぞいて………




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