初恋 ~頑張る女子と俺様上司の攻防戦~
腕を引かれて立ち上がり、店長さんの前まで連れてこられた格好になった樹里ちゃん。
パイプ椅子に座り私達を見上げる店長さん。

「樹里ちゃん。お店にご迷惑を掛けたんだから、まずは謝ろう」
「・・・」
「樹里ちゃん?」
「イヤよ。私を泥棒みたいに扱って、警察を呼ぶって言ったのはこの人なんだから。私が謝って欲しいくらい」
「樹里ちゃんっ」
私があげた大きな声に店長さんもビクンとする。

「謝りなさい」
「イヤっ」
「イヤでも謝るのっ。お金を持たずに来たのは樹里ちゃんでしょ」
「だって、パパが・・・」
「それはお店の人には関係ない」
「・・・」
「謝りなさい」
「でも・・・」
「パパを呼ぼうか?」
「・・・」
「お店に迷惑を掛けたことを謝りなさい」

「・・・ごめん・・なさい」
小さな小さな声で、悔しそうに呟いた。

「申し訳ありません。ご迷惑をおかけしました」
私は、樹里ちゃんの頭を後ろから押さえた。
キャッ。
小さな悲鳴を上げた樹里ちゃん。
でも、抵抗することなく頭を下げた。

「もういいですよ。わかっていただいて支払いをしていただければ、それで結構です」
店長さんも許してくれて、ホッ。なんとか治まった。
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