初恋 ~頑張る女子と俺様上司の攻防戦~
「お願いです。もう1度だけチャンスをください」
自分でも意識することなく、深々と頭を下げていた。

「そんなに、会社に残りたいか?」
「はい」
「じゃあ、異動しろ」
「・・・イヤです」

「お前・・・」
社長があきれてる。


長い沈黙の時間。
ジッと床を見つめる私の中で、何かがプチッと切れた。

「私はただ建築家になりたくて、御影さんの仕事にあこがれて、でもお金がなかったからバイトをしたんです。水商売をしたのは事実ですけれど、悪いことをしたつもりはありません。就職してからも、お世話になったママが困っていれば断れなくて月に何度か助っ人で店に出ていました。それがそんなに悪いことでしょうか?」
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