恋するきみは、だれよりかわいい。
甘すぎる先輩
風呂上がりですっきりした状態でベッドでゴロゴロする。
16年間生きてきて、いちばんと言っていいほどたくさんのことがあった。
今日のできごとがすべて遠い昔のように感じるけど……。
《桜音ちゃん起きてる?》
日向先輩からのメッセージにドキンと大きく胸が高鳴る。
短い文章をベッドの上で正座し直して、何度も読み返した。
夢じゃない。
今日のできごとは全部、夢じゃないんだ。
現実だということをこのメッセージが知らせている。
夜に要件なしの起きているか確認だけのメッセージなんて来たことがなかった。
《起きてますよ》
送るとすぐにまたメッセージが入ってくる。
《電話していい?声が聞きたい》
《いいですよ》
返信したと同時くらいに画面が変わって、日向先輩の名前が出る。
バクバクとうるさい心臓の音を感じながら、スライドさせて耳に当てた。
『桜音ちゃん』
「はい」
『いきなりごめんね。どうしても桜音ちゃんの声が聞きたくなって』
「いえ、うれしいです……」
声がいつもより低く感じる。
耳に届く日向先輩の声がとても穏やかで心地いい。