恋するきみは、だれよりかわいい。
縮まる距離と離れる距離
「桜音ちゃん、ヒマな日ってない?遊ぼうよ」
「え?」
「あ、その前に連絡先って交換してなかったよね。しよっか」
「えぇ……!?」
「はは、驚きすぎ」
驚きに決まってる。
だってあの逢坂先輩がわたしの教室にひとりで来てるんだよ?
驚かないわけがない。
いつもなら日向先輩と一緒だったのに。
いや、一緒でも用事がない限りはこなかった。
「とりあえずほら、交換」
「は、はい」
ドキドキしながらスマホを出す。
周りの視線が痛い。
いまからでも場所を変えるべきかもしれない。
連絡先を交換してから、席を立ち逢坂先輩を誘導して廊下に出る。
それを追うようにクラスメイトの視線が動く。
廊下に出てやっと視線から逃れることができた。
「あ、昨日は家まで送ってくださりありがとうございました」
結局てっちゃんたちとは合流せずに家まで逢坂先輩に送ってもらった。
どんな会話をしたのかは緊張しすぎておぼえていない。
そもそも会話したっけ?
それくらいわたしは緊張していた。