キミ、依存症
「たくさん傷つけてごめん。そんな俺がこんなこと言っていいのかも分からないけど……」
グイっと手首を引っ張られたかと思えば、一瞬ですっぽりと抱きしめられていた。
ハルの匂いが鼻を擽る。
ドクンドクンっと早い心音が聞こえる。
それは私のだけじゃなくて、きっとハルも同じなんだろう。
「お願い。もう一度だけ、俺を好きになって」
「ハルっ…」
「ごめん、どうしようもなく、菜乃が好き」
夢なら覚めないで、そう願うほどに嘘のような言葉だった。