ピュアダーク
 その頃病室では、完全な日没まであと数秒しか残ってなかった。

「ダメだ! 時間切れだ」

 パトリックが絶望した声を上げたときだった、ヴィンセントの体がぴくっと動いた。

「ヴィンセント!」

 パトリックは慌てて、ヴィンセントの体を持ち上げ、ベッドから急いで離し、病室の外へ出た。

 そこで完全な夜を迎えた。

 パトリックはヴィンセントを抱えたまま、へなへなと壁伝いに、しゃがみこんでしまった。

 ヴィンセントがパトリックに覆いかぶさるように、二人は病院の廊下で抱き合って座っていた。

 行きかう人がジロジロと見ていく。

 パトリックはそれでもお構いなしに、ふーっと息を吐いた。

 ヴィンセントはようやく意識を完全に取り戻し、ゴツゴツした硬いものに抱きついてるのを不思議に思い、顔をあげた。

 あまりにも近くにパトリックの顔があり、「うわぁ」と悲鳴をあげてのけぞっていた。
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