ピュアダーク
「コール、大丈夫?」

 ゴードンが心配していた。

「さてと、高校生活と行きますか。それにしても体が重い。立つのも一苦労だ。なんとかならんのか、この体」

 ポールに成りすましたコールは立ち上がり、まじまじと体をみていた。

 身長はそんなに悪くないが、体に無駄に脂肪がつきすぎて、腹がでっぱり、かがむのも 一苦労だった。

「見かけはその子のままじゃが、中身は今はコールじゃ。力も普段通りとは行かぬが、その子の潜在能力の極限まで発揮できるじゃろう。但し無理はするな。無理をすれば、その子の身がもたん。それから意識を支配してることになるので、その子の記憶も読み取れるじゃろう」

「ああ。まだ慣れてないために、動きづらいがなんとか機能するだろう。体も短期間で痩せてやるよ」

「あっ、そうそう、肝心なことを忘れてた。鏡に気をつけるんじゃ。鏡に映れば、本来の姿が映りこむ」

 ゴードンは試しに手鏡を持ち出してコールに渡してやった。

 鏡には普段の自分の顔が映っているのを確認した。

「それからもう一つ、戻るときじゃが、左の腕を見てくれ。そこに黒い輪のようなものあるだろう。それに触れてみろ」

「なんか輪ゴムを手首につけてるようだ」

 コールは引っ張って遊んでいた。

「それはお前の意識の一部じゃ。それを外して元の体につける。するとその子の体から意識が引っ張られて、自分の体へと戻っていく。好きなときにいつでも外せ」

「わかった。じいさん、ありがとな」

「そんじゃ、わしはこれで帰るとしよう」

 ザックはドアに向かって歩いていたときだった、コールは後ろから飛び掛り、ザックの首に腕を引っ掛けねじった。

 グキッと骨が折れる音が聞こえると、ザックはうなだれた。

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