ピュアダーク
 その時、ホテルがパニックに陥ったように沢山の悲鳴が一つになって大きく辺りを震撼させた。

 ゴードンは影も呼び寄せ、辺りは殴り合いの派手な喧嘩になっていた。

 冷静なリチャードが顔を歪ませて焦った。

「一体ホテルで何が起こってるんだ。とにかくヴィンセント、よく聞け、何がなんでもベアトリスを見つけろ。あの車に乗っていた男はコールだ」

「なんだって。どうみたってアイツはポールじゃないか」

 ヴィンセントが驚いた。

「あの男がコールだって? どういうことなんだ」

 パトリックは驚きのあまり、呼吸困難になりそうだった。

「大変な誤算をしていたんだ。コールはノンライトに成りすましていた。それがお前のクラスメートだったんだ。まんまとコールの策略に我々はひっかかってしまったんだ」

 リチャードが悔しさを滲ませながら、ベアトリスを救える方法を同時に模索する。

「くそっ、なんで気がつかなかったんだ。あんなにポールがおかしくなってたのに、ダークライトの気ばかり気にしすぎて目に見える事を見逃していたなんて」

 ヴィンセントは己の愚かさを呪い、ベアトリスのことが心配で気が狂いそうになっていた。

 体を震わせ、息を激しくしては爆発しそうな怒りを必死に体に封じ込めていた。

「今、後悔している暇はない。なんとしてでもベアトリスを見つけなければ、ライフクリスタルを奪われてしまう。きっと共犯者がいるはずだ。そいつが会場を荒らしているに違いない。そいつを捕まえて場所を聞くんだ」

 パトリックが助けられる方法があると二人に叫んだ。

「ゴードンか」

 リチャードはゴードンを探しに混乱している会場に乗り込んだ。

 その後をヴィンセントとパトリックも続く。

 会場は既にプロムの華やかさはなく、狂気に満ち溢れた闘技場となっていた。
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