夜の音-元ヤクザとJKのアブない同居生活-
「ふふ。分かってる!落ち着いたら戻るよ」

軽く手を振り、私はキッチンへ、悠はトイレへ向かって別れた。

最高のクリスマス……。

本当に、何も起きなければいい。

ただ普通に悠と過ごせる大切な一日になればいい。

どうか、昔の私と悠を知る人に見つかりませんように。

そう願って、水の入ったコップを片手に窓際から夜空を見上げた。


**********


部屋に戻る前にリビングを覗くと、那月は外からの微かな光に照らされて窓際に佇んでいた。

……綺麗だな。

艷やかな髪も、形の良い横顔も、物憂げな表情も。

惹かれて足を進めると、気づかれて表情が変わる。

嬉しそうに微笑んで、俺の名前を呼んでくれる。

「悠。どうしたの?寝ないの??」

「那月……不安か?」

「えっ……あ、バレてた??」

困ったように笑うも、すぐにため息をついた。

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