甘くてやさしくて泣きたくなる~ちゃんと恋したい
19.ずっとあなたと……
19.ずっとあなたと……


夕陽のオレンジに縁どられた彼の頬にくぎ付けになる。

今のは空耳だろうか。

だって、まだちゃんと男の人と付き合ったこともないし、ましてや、初めて彼に抱かれたその日に結婚してほしいだなんて!

体中が心臓になったみたいにドクンドクン脈打っていた。

考えなきゃいけないのに、頭の中がショートしたみたいに真っ白になってる。

結婚。

結婚って何?

今すぐ結婚の意味を調べたい衝動に駆られる。

結婚しようと言われてすぐに「はい」なんて答えられるほど、単純な言葉ではないことは確かだ。

一生を共にするってことだもの。

互いに運命共同体としてやっていけると確信した相手でないと難しいわけで。

樹さんは申し分ない相手だってことはわかる。

だけど、私は樹さんにとって本当にふさわしいの?
こんな私と一生生きて行ってくれるの??

「さっきから瞬き一回しかしてないけど」

固まる私の鼻の頭にちょんと人差し指で触れた彼はくすっと笑った。



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