桜の木に寄り添う

見つけた場所は

最初に出会った場所……
 特に会話したわけではなかったが、ボールが私達の目の前にきて、可愛い笑顔を見せてくれた。

 公園に着いた私達は、車から降りて探し始めた。

「 あかりちゃーん! 」

 私達は、名前を呼びながら必死に探した。
 だが、ここの公園にいる様子はなかった。

「 ここじゃないのかな 」

「 うん。いなそうだな。次の場所に行こう 」

 ここじゃなかったんだ……
 子供連れの人達が、今日は沢山遊んでいる。
 楽しそうな笑い声が、今の私には腹立たしかった。

 だって……あかりちゃんの姿は見えなかったから。

 私達は、車に戻り次の場所へ向かう。
 車の中では、会話もなく重い空気になってしまう。
 早く見つけなきゃ……

 私は、窓の外を見ていた。
 車は、海岸沿いを走り人の気配すら見えない。

 私は、本当に探せるのだろうか。
 不安しか今は感じられなかった。

 そんな私の気持ちを察したのか、ヒロキくんが口を開いた。

「 最近さ、あの女から連絡来なくなったよ。色々辛い思いさせたな。ごめん 」

「 よかった。大丈夫 」

「 あかりちゃん……どこ行ったんだろな 」

「 うん。いきなりいなくなるなんて…… 」

 涙が溢れそうになってしまう。
 でも、悲しい気持ちになったら、現実になってしまいそうで怖くてたまらなかった。

 車をしばらく走っていたら、携帯が鳴った。

「 もしもし、公園にはいなかったよ 」

 電話の相手はこうちゃんだった。
 思い当たる場所をこうちゃんは、朝から、ずっと探している。
 でもまだ見つかっていない。

 どこに行っちゃったの……

 私達は、とりあえず家に向かっていた。
 桜のポストがある。
 あの家……

 思い出が沢山詰まってるあの場所……

 窓の外をふと見た、その時……

 あれ!?

 浜辺に女の子が立っている。

「 あかりちゃん!?ヒロキくん、車止めて! 」

 驚いた顔をしながら急ブレーキをかけた。

 慌てて車から降りて、女の子がいる浜辺までヒロキくんが、車椅子を押しながら近寄って行った。

「 あかりちゃん!! 」

「 なっちゃん!? 」

 確かに、そこにいたのは……あかりちゃんだった。
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