桜の木に寄り添う

ひっそり佇む小屋

たくさんの花を私達は、しばらく見つめていた。

 あれ、なんだろう……
 花畑の向こう側に、小さな家がある。

「 なっちゃん、そろそろ戻ろう 」

「 う、うん 」

 あかりちゃんは、車椅子の向きをかえて歩き始める。
 その時の私は、そんなに気にすることもなく花畑を後にした。

「 綺麗だったでしょ? 」

 あかりちゃんは、自慢気な顔をして私に言った。

「 秘密の場所に、連れてきてくれてありがとう 」

「 ふふふ 」

 私達は、来た道を戻り家に向かう。
 薄暗い朝だったが、今はもう明るくなっていた。

 鳥の声が、さわやかな朝を感じさせている。

 こういう朝の空気は、都会で感じる事は出来ないだろう。
 新たな気持ちになると同時に、また違う気持ちにもなっていた。

 いつか戻ってこよう。
 この私の大好きな町へ……

 来た道を戻り、あっという間に家に着いた。

 玄関を開け、中へ入るとこうちゃんが出迎えてくれた。

「 どこいってたの?出発の時間になっちゃうでしょ! 」

 あかりちゃんは、口元に手を当ててシーっと言って、私の顔をじっと見つめている。

「 ごめん、こうちゃん。今急いで用意するね! 」

 そう私は言い、部屋へ戻った……

「 あっ!ここにいたの? 」

 部屋の中には、ヒロキくんがいて私の荷物を準備してくれていた。

「 まだ時間あるから、少し休む? 」

 ヒロキくんは、私にいつも優しい言葉をかけて気にかけてくれている。

「 大丈夫だよ。少し話していい? 」

 そう私はヒロキくんに言い、ヒロキくんはベッドの上に座った。

 私は、これからの事……

 それと、さっきあかりちゃんと行った、花畑にあった家のことを聞いてみることにした。


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