桜の木に寄り添う

やり遂げたい気持ち

こっちの空はどうしてこんなに広く見えるのだろう。
 この空は私を、大きな気持ちにさせてくれる。
 広い心を持ちなさい、周りを見なさいと言われてるようなきがするのだ。

 私は上を見ながら、そんなことを考えていた。

 みんな疲れたのだろうか。
 電車を待つ間、無言になっていた。

 しばらくして、やっと電車がきた。

 すごく長い時間ではなかったが、誰も何も言葉を発しなかったからか、すごく長い時間のように感じていた。

「 はぁ。やっときたー! 」

 待ちくたびれたような声で、リエが言った。

 東京と違って降りる人も、乗る人も少ない。
 私達は、すんなりと電車に乗った。

 ガタガタガタン

「 なつ、戻ったらまた忙しくなっちゃうね? 」

「 うん。でもやりたかった事だし、楽しみだよ 」

 本当は、私の中の気持ちは不安の方が大きかった。
 これから、本当に大丈夫かなぁ。
 私は、やっていけるのだろうか。

 不安だと思うと、どんどん不安になってしまう。

 そう言葉にする事は、すごく簡単だし、そう私が言ったらみんな手伝ってくれるだろう。

 でも私は、どうしても自分の力でやり遂げたいと思っていた。

 私の気持ちとは裏腹に電車は、どんどん進んでいく。
 私もこうでならなければならない。
 どんどん進んでいかなければならないのだ。

 不安だろうがなんだろうが、もう進んでいるのだから。

 これが私の生きる道なのだからと思うように必死だった。
 もう簡単には戻れない道を走り出したのだから。
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