桜の木に寄り添う

芳ばしい香り

まだまだ私はやらなければいけない事がある。
 これから待っている乗り越えていけない事もまだまだあるのだろう。

 人生は、良い事や悪い事を繰り返して生きていくのだから……

 その度に、自分がどこまで変わっていけるのか。
 強くなれるのか。
 大人になった今だけど、昔の頃から変わってない気持ちもある。
 私は……強くなれているのだろうか。

 私はそんな事を思いながら、眠りにつく。

 不安な気持ちがまだ強いからなのか、夜中に何度も目が覚めてしまう……

 朝方になり、カーテンの隙間から少しの光が朝が来ていることを教えてくれている。

 カタカタカタ……

 リエは隣でまだぐっすりと眠っている。

 私は、顔を洗い歯磨きをして珈琲を淹れる事にした。

「 いい香り 」

 珈琲の芳ばしい香りが部屋中に漂っている。
 朝の光と芳ばしい珈琲の香りが、凄く心地いい。

 ガチャ

「 なつ、おはよう!いい香り! 」

 その香りに起こされたかのようにリエが起きてきた。

 2人で珈琲を飲みながら、今日の行く場所を話し出す。

「 なつ、今日額縁を買うんだよね? 」

「 うん。行ってみたいお店があるんだ 」

「 じゃ、そこに行ってみよっか! 」

 私達は、ある程度話をし支度を始めた……

 私が行きたかった雑貨屋。
 そこも昔からあるレトロな雰囲気で、過去にタイムスリップしたような気持ちになれる。そんな雑貨屋だ。

 きっとそこには、素敵な額縁があるだろう。

 ヒロキくんのあの絵……
 幼い頃の私達を映し出した桜の木のあの絵に似合う額縁が見つかると。
 ……私は確信していたのだった。
< 92 / 116 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop