Ｆａｋｅ!!（フェイク）～漆黒の魔導師と呪われた乙女の物語～

「…言ってる意味が判らないんですけど…。新しい仕事ってどういう事ですか？俺はここの仕事でいっぱいいっぱいですよ。」

俺はイライラしながら、彼に尋ねた。

「うん。だからね…。君は明日からここに来なくていいの。明日からはね、スカイヤード家の家庭教師に行って貰うから。」

（はっ？何それ？）

「まあ、正確に言えば我が国伝統の騎士と魔法使いのカップリング。君は明日からスカイヤード家のお坊っちゃんの相棒って事だね♪いやぁ、ホントに羨ましい。」

そう言い終えると、エジソン校長はテーブルの上のキャンディーポットからジェリービーンズを摘み口の中へ放り込んだ。

（家庭教師…カップリング…相棒ぉぉぉ～！）


「校長～！それって、つまりはクビって事じゃないですか！おまけに除籍ですかっ！」

俺は呑気にジェリーを勧める校長に詰めより彼を睨み付けた。

「ロニィ君落ち着いて。まあ、ここがダメになっても、新しい仕事が見つかったんだからいいじゃないの。それに、今日はスカイヤード家の坊っちゃんもお呼びしてるんですから。」


「はぁ？」

「エドガー・スカイヤード君、お入り。」

校長は俺に詰め寄られ、つま先立ちになったまま校長室の奥のドアへ声をかけた。

「失礼します。」

涼やかな声がして、そのエドガー坊ちゃんが姿を現した。


これが、俺の不幸な転職…そしてやっかいな相棒との初めての出会いだった。