Fake!!(フェイク)~漆黒の魔導師と呪われた乙女の物語~
「うわっ!ロニィ、国王に何をしたのっ。まさか、造花に毒を仕掛けたんじゃないだろうねっ。あーーーっ、嫌だよ!造花には僕の髪が仕込んであるんだよ!このままじゃ、僕は国王暗殺犯じゃないか!」

エドガーが顔を真っ赤にして、物凄い剣幕で俺を怒鳴りつけた。

「ははっ、落ち着けって!奴は死んじゃいない。ただ眠っているだけさ。エドガー、これが俺の呪いだ。呪いは花にかけたんじゃない。その鋭い棘にかけたのさ。お前の髪はいわゆるFakeだ。」

「ふーん。何だか良くわかんないけど…。で、どんな呪いをかけたのさ。」

「奴にとっては…懐かしくて甘い…そして悲しい…口で言うのは難しいな…。さて、そろそろ俺達も行くぞ!」

話を切り上げ、俺は右手でエドガーの手を握り、レオルドの滑らかな額に左手の人差し指を静かに当てた。

「えっ、どっ、何処へ行くのさ!」

「何処って、枯れない花に“会い”に行くのさ!」

そう答えると、俺は呪文を唱え始めた。
エドガーが俺の手をギュッと握りしめる。
俺は、掌から全身に走る激痛に悲鳴をあげそうになったが、呼吸を整え詠唱を続けた。
ユラユラと空間がねじ曲がり、目眩が俺たちを襲う。
虹色の光が、頭上を飛び交ったかと思った瞬間…真っ暗な闇が俺たちを包んだ。
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