身ごもり政略結婚
彼が口元を緩めて目を細める表情はとても柔らかい。鉄仮面なんてどこにもない。
「愛結、デビューするんだって。かわいくしてもらおうね」
私がそう言いながら彼女に近づくと、大雅さんも隣にやってきて私を見つめる。
「結衣のおかげだな」
「ん?」
「愛結が無事に一歳を迎えられること。俺が会社で踏ん張れること。全部全部、ありがとう」
改めてお礼を言われると、胸にこみ上げてくるものがある。
なんの苦労もなかったとは言い難いからだ。
「大雅さんだって。素敵なパパになってくれてありがとうございます」
「うん。でも足りないな。〝素敵な旦那〟も付け足してくれない?」
白い歯を見せる彼は、愛結が背を向けているのをチラッと確認してから、私を引き寄せてキスを落とす。
「はい。素敵な旦那さまです」
「サンキュ。素敵な俺の奥さん」
私たちは視線を合わせて微笑み合い、もう一度甘い唇を重ねた。