緑の風と小さな光 第2部
第2章 銀の星

エイダ

セレ達は南へと進路を変えた。

今まで通り西に行くと、2000メートル以上の険しい山々が聳え立つ山脈になる。

そこを迂回するためにいったん南下する事にしたのだ。

「スザールの近くを通るけど、帰るのか?」

別れる事になるのかな…と思いながら、セレは身長2メートルの大男エルグにきいた。

スザールというのはエルグとその弟のルルグの故国だ。

「…うん…」

浮かない返事だ。エルグはスザールが近づくに連れて無口になっていた。

「…どうした?」

「戻るには覚悟がいる所なんだ…俺にはな…それに物騒な国になってしまったしな…」

「スザールが物騒?初めて聞いたな。」

「7年前…その頃からスザールは変わった」

「スザールの国王は穏やかな人物の筈だが?」

「軍人上がりの側近…スヴィアが来てからだ。」


スザールは高級な茶葉の産地として有名だ。鉱物資源にも恵まれている。南国のため果物も豊富で、セレの国ロストークでも輸入していた。

広大な茶畑や果樹園では国民の半数程が働いていた。

「金や人を上手く廻せばロストークよりも豊かな国になりそうだ。」

「…そこは、国王はあまり上手じゃなかったな。」
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