星野くんとの朝時間
私は一仕事終えたような満足感を得る。

そして、廊下側から二列目、後ろから二人目の自分の席へと腰をおろす。

かばんから教科書を出して机にしまっていると、ドキドキは少しずつおさまってきた。

高校に入学して3ヵ月、少しずつ新しい環境にも慣れ、クラスの雰囲気もつかみかけてきた頃だ。


そんな中、私の楽しみはこの朝の時間。

クラスメイトが登校してくるまで、静かな教室で過ごすのが好きだった。

入学して間もない頃、一番に教室入りしたと思ったら、そこには星野くんが居た。


いつだっただろう、星野くんの居る教室で過ごす時間が私の中で特別になったのは。

もちろん、仲がいいとかそういうのではない。あいさつをするだけの関係だ。

それでも、ただ同じ場所で、同じ時間を過ごす、それだけで私の胸はいっぱいだった。


朝の静かな教室に二人でいる時、世界で二人きりみたいな気分になった。


あいさつの余韻をかみしめていると、親友の千歳が登校してきた。

それと時を同じくして、クラスメイトがぱらぱらと登校し始める。

星野くんも仲の良い友人たちに囲まれ始めた。


ほんの数分の特別な時間は終わり、今日という一日があわただしく走り始めた。


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