星野くんとの朝時間
ふとそんな思いがわき上がってきた。

胸がズキズキと痛んだ。

イヤだ、という心の思いは気づくことなく流れていった。

カバンの中を片付けたのだろう、窓際前方の席から千歳がやってきて声をかけてくれた。

「目ぇ赤いよ、大丈夫?」

「コンタクト、ずれちゃって・・・・・・」


(コンタクトなんてしてないけどね)


「え、美羽、コンタクトだっけ?」

「トイレいってくるね」

千歳の顔を見ないように、私は廊下へ向かった。

小さな嘘をつくことに何の呵責もなくなっている自分がイヤだった。

でも、知られたくない。



この胸の中の思いを。

< 20 / 41 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop