星野くんとの朝時間
淡々と日常は過ぎていく。

少女マンガのようにドラマチックなアクシデントや、シチュエーションなど起こらない。

朝のあいさつをするだけで、充分ドキドキするイベントだなと思っていた。

その日もいつものように、朝早くすいている電車に乗り登校する。


(今日は1番のりかな、2番かな、どっちでもいいや、何か楽しい)


星野くんに会えるか会えないかを考えているだけなのに、スキップしそうな程に浮かれた気分だった。

(恋っていいなぁー・・・)

ふと思ったことに、自分でびっくりする、

(恋!!?私、星野くんに恋、してるの?)

心の中で言葉にしてみると、じわじわと胸があたたかくなる。

(そうなんだ。私、星野くんのことが好き、なのかな・・・)

つらつらと考えていると、いつの間にかちょうど自分のクラス、1年F組の前にたどり着いた。

一つ深呼吸をしてドアを開ける。

(いた!)

好きかもしれない、と思いが浮かんだ途端、心臓がばくばくして、いつものタイミングであいさつの声が出なかった。

その時、星野くんがふとこちらに気づいたように顔を向けた。

「あ、おはよう」

整った顔を向けられて、ドキドキが跳ね上がった。

「おおお、おはよう」

どもってしまったあいさつに、星野くんはクスリと小さく笑った。

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