ガラスの靴は、返品不可!? 【後編】
18. 記憶~ライアンside

誰にも話すつもりなんてなかった。
文字通り、墓場まで持って行くつもりだった。この秘密は。

あの日からずっと、なぜかそのことだけは固く心に決めていたから。

それでも。
飛鳥やベビー、僕の何より大切な人たちを泣かせることになるのなら、話は別だ。
僕は、戦わなければならない。


<幼いころ、僕は黄金栄というチャイニーズマフィアの元で育ちました>

バルコニーに飛んできた小鳥を無表情のままに見下ろすその人の隣へ並ぶように立ち、僕は話し始めた。


<ある時……僕が9歳の時です。上海市郊外にあった彼の屋敷は、公安警察の一斉捜査を受けました>

それは捜査、という名の襲撃だった。
最初から、破壊し、制圧することが目的だったんだろう。

屋敷には火が放たれ、あたりはまるで戦場のように混乱した。


――火が放たれたぞ! 応戦しろ!

――老板をお守りしろ!

――裏が突破された! 入ってくるぞ!


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