ガラスの靴は、返品不可!? 【後編】
5. 推理

午後1時過ぎ、空席が目立ち始めたのどかな社員食堂。
それぞれのランチセットが載ったトレイを持った私と坂田は、窓際の席に向かい合って腰を下ろした。

「社食で食べるのって、久しぶりなんだ。たまにはいいよね」

はしゃぐ私を半信半疑って感じで見つめながら、坂田が箸を手に取る。
「なんか気持ち悪ぃな。真杉が誘ってくるなんて」

「何よ、同期と親睦を深めたいと思っちゃいけないわけ?」
「別に、奢る必要はないだろ」

う、と言葉に詰まった。
さすが坂田、鋭いな。

サラダをつつきながら、前方を伺った。
「実は……そのぅ、ちょっと聞きたいことがあるんだけど」

言うなり。
「やっぱりな」と、彼の肩が上下した。
「いつでも聞きゃいいのに。で? 何が知りたいんだ?」

すっきりした、とでもいうように、坂田がモリモリとランチ――アジフライ定食――を食べ始める。
見てるだけでお腹がいっぱいになりそうな、気持ちのいい食べっぷりを眺めつつ、どう切り出そうかと言葉を探した。

「あのね、坂田って医療系のクライアント多いじゃない?」
「あ? 医療系?」
「そう、製薬会社とか、医療機器メーカーとか」
「あぁ……まぁな。他の奴らよりはあるかもな。それがどうした?」


「リーズメディカルって、どんな会社?」

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