新・イジメ.COM
☆☆☆

壮絶な1日が終り、あたしたちはようやく女子寮へと戻ってきていた。


いくら個室といえど、嫌でもいろんな生徒たちを顔を合わさなければならない。


もちろん、渚と美文の2人だって。


「髪の毛。ちゃんとバリカンでかり直してね」


食堂へ向かう途中、部屋から出て来た美文へ向けて渚が言った。


その声は柔らかくて優しい。


けれど、昼間の渚の様子をぬぐい取る事はできなかった。


美文の髪の毛はかなり短く切られ、本当に坊主にしなければならないくらいになっていた。


この島に美容院などはないから、全部自分ですることになるだろう。


美文はなにも言わず、あたしと渚の隣を早足で通り過ぎた。


その瞬間……「覚えとけよ」美文が小さな声でそう言った気がした。
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