新・イジメ.COM
「メッセージを監視していたなら、どうしてその時に伝えないんですか」


どうにか崖の上に戻って来たあたしは、田中先生を睨んでそう言った。


あたし達の計画は先生に筒抜けで、最初から成功することはあり得なかったのだ。


それなら、その段階で注意すればよかったはずだ。


「それはつまらないだろ」


「つまらない……?」


田中先生の言葉に克己がこめかみをヒクつかせた。


怒っているのがわかる。


「説明にあったはずだ。これはすべてネット配信されている」


その言葉にイジメ.COMからのメールを思い出していた。


「嘘……。あれはアプリに投稿された動画だけじゃなかったんですか!?」


「そんな説明書いてあったか?」


そう聞かれてあたしは絶句した。


あたしたちの私生活すべてが配信されている?


そして視聴者を楽しませるために、あたしたちは踊らされている……?


「今回は見逃してやる。でも、次はないぞ」


田中先生の声に絶望感が胸に湧いたのだった。
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